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こんな新聞毎日読んでいます。


by shinsyu007

「政治と金」論じる資格は

月曜評論 丸山 仁

 民主党が企業・団体献金とパーティー券購入の「将来的な全面禁止」で合意した。全面禁止の実施時期について党内論議を詰めた上で、政治資金規正法改革案を今国会に提出し、来る衆議院選挙のマニフェストにも明記するという。さらに全面禁止までの経過措置として、公共事業の受注が一定額を超える企業・団体献金とパーティー券購入を禁じ、個人献金を拡大するため、一定額までの寄付の全額を税額控除の対象にするという措置も加えられている。

 以前から企業・団体献金については、その筋の悪さが広く指摘されてきた。政治腐敗の温床になるという理由だけではない。もしその目的がもっぱら資金力で政治家を動かし、特殊な利益を実現することであれば、巨額の政治献金は民主政治に対する重大な脅威となるうる。
 
 他方で企業・団体の利益と無関係であるとすれば、多額の資金提供は企業・団体に重大な損失与える(だから「無関係であるはずがない」ということになる)。

 そもそも、一方で政治家と企業の癒着、政治腐敗の一掃を理由に「税金で政党の面倒をみる」政党助成制度を導入しながら、他方で企業・団体献金を容認してきたこと自体に無理がある。政党助成制度の導入当時には、「日本には個人献金の文化が根付いておらず、直ちに企業献金を廃止することは難しい」云々という見識を披露する、(自称)改革派の政治家多かったはずである。しかし長らく個人献金を促進するための真剣な努力も、従って企業・団体献金の全面廃止へ向けた抜本的な改革も放置されてきたというのが実情であろう。

 だから遅ればせではあるが、今回の民主党の決定は英断である。是非総選挙の重要な争点の一つに位置付け、国民に信を問うてほしい。しかしその前になすべきことがる。英断であればと思えばこそ、私は今回の民主党の決定が「そうした主張をする資格の有無」という不毛な議論に絡めとられることを危惧する。

 そもそも民主党は、企業献金の問題性についていかなる認識を持っているのだろうか?「悪いのは検察で、小沢代表が長年受け取ってきた西松建設からの巨額の献金に何ら問題はない」という説明のまま、突然「企業・団体献金の全面禁止」を打ち出されたのでは、自民党でなくとも困惑する。「散々企業献金で潤ってきた政治家に、そしてそれを是とする政党に、企業献金の禁止を主張する資格があるのか」という至極真っ当な疑問が生じるからである。過去の真摯な反省なくして、未来に向けた改革はありえない。一体政治資金にかかわる「何を反省し、何を改める」のか。民主党にまずもって、その点の明確な説明を求めたい。

 小沢代表はその反省点に立って、代表を辞任するもよし、また自らの手で豪を断ち切るために、敢えて茨の道を歩まれるもよい。いずれにせよ企業献金廃止の旗が、西松事件の煙幕であってはならない。

 史上空前規模の追加経済政策のツケは、いずれ将来の世代に回ってくる。また、京都議定書、ポスト京都議定書の国際公約を履行するためには、広く国民の協力を仰がなければならない。政治家への国民の信頼なくして、指導力の発揮は困難である。西松事件を奇貨として、今度こそ国民の不信が一掃されることを期待した。

 (まるやま・ひとし 岩手大人文社会科学部教授)


自分の国の国旗を掲げられない政党に、どんな旗も似合うことはないと思います。 

※追記。この日の6面に、聖教新聞社の全面広告が掲載されています。

読んだその日から、自分が変わった。そうである。
by shinsyu007 | 2009-04-21 21:33 | 総合